もめぐ

楽しかったのは覚えてるんだけど、何が楽しかったか覚えてない。

鬱の夫とトゲが抜けない妻

 

なにか虚しい。

なんでだろう。

夫がまた鬱を発症したらしい。私は夫が嫌いになりそうだ。

 

「怠けてるだけなのかなぁ?」

そう聞かれても、絶対違うよ、大丈夫、と言えなかった。

私がきっと心の奥で、そう思っているからかもしれない。

というか気にかけてあげられる余裕がなかった。

 

留学の準備は着々とせねばならない。

でもコロナウィルスの流行は私一人がどうこうできる問題でもなく

とりあえず1ヶ月の延長となった。それでも不安定な状況は変わらない。

子供と離れてまで留学すると決めた。

その決意を揺るがされて、時期も遅らされて、心はざわつく。

 

留学すると決めているから、もう家を引っ越すことも決まっている。

子供も転園する。

役所での引っ越し手続き、転園手続き、子供の予防接種、

あとは日本でやり残しておかないようにたくさんの予定が詰まっている。

 

生理痛がひどいからピルを飲み始めてまた婦人科に行かなくてはならないし、

咳喘息のための薬ももらいに行かなくてはならないし、

脱毛も消化したいし、矯正歯科にも行きたい。

あとは日本で残しておく荷物をなるべく少なくしたいので服や物を整理して、

保険や銀行口座も整理して、

子供にまつわる書類や行政の書類なんかをまとめているファイルも整理したい。

大量の写真も整理したい。

避難グッズもこの際見直してしっかり準備しておきたい。

あとは書類や子供について、母や夫に引継ぎをしっかりしたい。

 

私がいなくても不自由ないように、しっかりきっちりまとめておきたい。

日中は仕事もある。

 

だから時間がない。余裕も、ない。

 

 

前から、夫が調子が悪くなると、とってもイライラした。

自分の仕事が増えるからだと思う。

子供の面倒も炊事も送り迎えも、やらなきゃいけない。

 

もう一つは、自分が責められてる気になるから、だとも思う。

彼がしんどくなるのは、何も仕事だけじゃないだろう。

子供がいる責任や、私との生活の中でも何か無理してるのだろう。

 

「お前のせいだ。」

それをもろに、受け止める。

 

そんな私に、夫を思いやる気力は残っていない。

私がもっとできた人だったら、彼はこんなに苦しまなくて済むだろう。

 

「なんで私ばっかり」「私だって辛い」「誰もわかってくれない」

そう思い込んで、彼が何気なく言った言葉に傷ついて、私も同じような言葉を吐いて、

彼を傷つけようとしてしまう。

私は何かの病気だろうか。

 

お互いにお互いを傷つけてしかいない。

 

「俺の給料だから! いやそら家族のお金だけど」

「ほら寝るんじゃん! いや寝ててくれていいけど」

本音が見える。

妻にしっかりしててほしい、という本音が。

 

もっとしっかりしててよ、俺がもたれかかりたいから。

 

そう言われてるように感じるのだ。

被害妄想だと思う。

 

そういえば、身長が高い私を風除けに使った友人のあの時の感情は

鮮明に思い出せるなあ。

 

もたれかかられるのが極度に嫌らしい。

母親が常にもたれてくる人だったから、というのもあるかもしれない。

アレルギーなんだろうか。

 

みんなもっと、寛容にもたれてもらって、自分ももたれて、

持ちつ持たれつやってるんだろう。

私はうまくそれができない。

なぜだろう。

 

誰も教えてくれない。

自分で見つけるしかない。

見つけ方がわからない。