もめぐ

楽しかったのは覚えてるんだけど、何が楽しかったか覚えてない。

ある日突然のいのち

 

妊娠した。ある日突然。

 

成人するとか、新社会人になるとか、

30歳になるとか、結婚するとか、

 

別物に生まれ変われるかのように

子供のとき思えていたことは、

その日を迎えてしまえば、

意外とスゥーっと通ってしまえるものだった。

 

「明日は今日の延長だからねー」

と旦那さんが言っていた。

ほんとそうだった。

 

ただ、昨日の延長だったはずの今日、突然、

「あなたの身体の中に人間がもう1人いますよ」

と言われたら、

「はいそうですかー」

とストンと理解できるだろうか。

でも、これが妊娠である。

妊娠した心当たりは勿論ある。

 

その奇妙さだけで言えば、

SF映画のエイリアンが人間の身体に卵を産んで

何も知らない人間の身体を食い割きながら

増殖していく、そんなイメージ…(例え悪すぎ)

自分のお腹のなかのことなのに、

新しい命の生死さえ分からない。

 

ただ、確かなことは、

病院でモニターに映った我が子は

とてつもなく愛おしい。

うじうじっと動く様子に感動して涙が出た。

 

 

自分の身体にまさか妊娠機能があったとは、

人を作り出せる身体だとは、

思ってもみなかったんだ。

これが妊娠なのだった。

自分の中にパラダイムシフトが起きている。

生まれたての価値観で世界を見る自分は

生まれ変わったようでもある。

 

今ツワリ真っ只中にいる身として、

この奇妙さと愛情の入り混じった感情は

書き記しておきたい。

 

お腹がふくらんできたら、

エイリアンではなく人間がそこにいる実感が、

それが間違いなく我が子である尊さが、

もっともっと湧いてくるのかもしれない。